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鳥取~出雲を結ぶ 2両編成の小さな観光列車「あめつち」
9月後半の連休に松江・出雲を訪問しました。目的の一つが、鳥取~出雲間を走る山陰本線の観光列車「あめつち」に乗車することでした。「あめつち」の存在を初めて知ったのは2年前くらいだったと思います。たまたま、調べ事をしている時に、主に週末だけ運行している山陰の海岸線を走る観光列車があることを知りました。
調べてみると、「あめつち」の名前自体が、古事記の上巻の書き出し「天地(あめつち)の初発(はじめ)の時」から名づけられ列車で、まさに、国づくり・国譲りの舞台となった神話の国、島根・鳥取にふさわしいネーミングで素敵だな、と興味を持ったのが始まりです。
さらに調べてみると、2両編成の小さな列車ながら、山陰の伝統工芸を車内に散りばめたこだわりの設えであることなどが分かり、いつか機会があれば乗車てみたいと思っていました。とはいえ、現在、東京に在住し平日は仕事をしている筆者が週末を使って出かけるには少しハードルが高く、なかなか実現しませんでした。
今回、依然としてコロナ禍での心配は少しありましたが、GO TO トラベルなども始まり、旅行自体は制限されていない状況のため、折角なので連休を利用して出かけてみました。
山陰は冬になると曇天の日が多くなるのと、日本海も荒れがちになるので、出来れば本格的な冬を迎える晩秋までのところで訪れたかった、ということも9月に「あめつち」への乗車を決めた理由の一つです。
「あめつち」の乗車区間はどこにしよう
「あめつち」は鳥取~出雲間を、主に週末に1日1往復で運行しています(2020年10月現在の情報。また月により運行日も異なるので詳しくは、JR西日本の「あめつち」のサイトでご確認ください)。
前線に乗車しようとした場合、
鳥取 9:00発 >> 出雲 12:31着 または、出雲 13:44発 >> 鳥取 17:36着 となります。往復ともに、途中、倉吉、米子、安来、松江に停車します。
折角乗車するのであれば、海岸線や途中の山陰の名峰、大山の見られる区間に乗車した買ったので、今回は全区間ではないものの、鳥取→松江間を乗車することにしました。ちなみに、松江には11:34着です。
東京から鳥取までの移動で選んだのは
乗車区間と日付は決まったものの、限られた休みなので東京からの移動についてまずは検討しました。
羽田空港→鳥取空港行きの飛行機(ANAが就航)は、朝一番早い便が06:40発、鳥取空港到着が08:00の便だったため、万が一飛行機が大幅に遅延したりした場合、鳥取駅を09:00に出発する列車に間に合わない可能性があります。また、料金を比較した際、鳥取までの航空機は普通運賃の値段の高い席しか空いていなかったので(筆者は株主優待券などもよく利用しますが、連休などの繁忙期はすでにその枠が満席になっていることも多々あります)、今回は仕事終わりに大阪まで新幹線で移動して、翌朝、鳥取まで移動することにしました。
会社の仕事を終えてから東京から移動を始めても、新幹線で姫路くらいまで行ってしまうこともできましたが、翌日の松江までの移動の際に、JR西日本の株主優待券を利用すればJR西日本の運行区間が50%割引になることを考慮し、初日は新大阪で1泊し、翌日株主優待券を利用して新大阪~松江まで移動することにしました(ちなみに、東京~新大阪までは指定席回数券を利用して費用を抑えました)。
新大阪では夜中に宿泊するだけなので駅近でコスパのよいホテルを選びましたが、宿泊代を入れても、東京~松江までの移動は飛行機で移動するよりもかなり安く抑えられました(宿泊を含めても22,000円位だったと思います)。参考までに、7時間ほどしか滞在しないものの折角ならなるべく快適なホテルで眠りたい、と探し、、新大阪では名鉄イン・新大阪東口に宿泊しました。2020年の6月にオープンしたばかりの新しいホテルで、新大阪の東口から徒歩3分程と近く、室内も清潔かつ機能的で快適でした。1階にはコンビニがあり、レセプションの横にはセルフサービスのウェルカムコーヒーのコーナーが設けられていて、こちらも嬉しいサービスでした。
「あめつち」の車内はどんな雰囲気?
新大阪で1泊した翌朝、鳥取までの移動は、新幹線ひかりで相生へ、相生で山陽本線に乗り換え上郡へ、ここから特急スーパーいなばで鳥取へ移動しました。06:06発のひかりに乗り、鳥取への到着は08:38でした。途中、田園風景や川を眺めながらの移動は、のんびりとしていて風景を楽しんでいるうちにあっという間に鳥取に到着しました。
いよいよ、鳥取から「あめつち」に乗車します。鳥取が始発駅で時間に余裕があったので、列車の前や車体の横なども観察してみました。
ロゴマークには古事記からのモチーフが用いられ、天と地、山と海、太陽と八雲、白兎と鮫などが描かれています。車両外装の紺碧のブルーは、日本海と山陰の空を表し、車両幅一杯に描かれていたのは、山陰地方の山々であると同時に、遠目には、山陰のたたら製鉄に因んだ日本刀の刃紋を表現しているそうです。
内部は2両編成なので席数は多くありませんが、筆者が乗車した日は割と空いていました。
乗車口に入るとまず、島根・鳥取の絣や織物が飾られています。その一つ一つに説明書きがつけてあり、ひとつずつ見ていくだけでも楽しめます。席は、海側の窓に向いたカウンター席が数席と、海側の4名掛けのテーブル席、山側には、2名掛けのテーブル席という配置です。今回、空いていたので4名掛けのテーブル席を一人で利用させていただくことになり、申し訳ないくらいでした。
テーブルには島根県の石見地方で作られる石州瓦が埋め込まれていました。席の上には黒松や杉を使った小さな壁面装飾、天井を見上げると鳥取の因州和紙を使った優しい照明が目を引きました。
2号車の端には小さなカウンターがあり、飲み物やお菓子、ちょっとしたお土産を購入することもできます。さらに事前注文をすれば、お弁当や松江の和菓子、鳥取で人気のスィーツセットなどを車内で召し上がっていただくこともできます。(筆者は事前注文のことなどすっかり頭になく、残念ながら購入できませんでしたが、コーヒーやお菓子をカウンターで購入しました。) 他には、神楽の衣装の一部が飾られていたり、鳥取の窯で作られた洗面台など、山陰地方の伝統工芸を随所に見ることができます。
車窓から、海や山の景色を楽しむ
鳥取駅を出発して30分近くすると日本海が見えてきました。車内には立派なパンフレットと列車が走る路線の周辺を説明した地図も置いてあり、地図を見ながらの移動はあっという間でした。また、「あめつち」のテーマソングが流れたり、適度に車窓から見える景色の説明などもあり、退屈することもなく景色を楽しめます。
日本海だけでなく、途中には山陰の名峰、大山を眺められる区間もあり、天気が良ければ間近に見られます。途中、列車とすれ違う為に小さな駅に停車したりすることがあったり、トンネルをくぐって周囲が暗くなると、天井の和紙の灯りが輝きを増したり・・・、たまには列車の旅もいいな、と思わせてくれる時間でした。
今回は、松江に用事があった為そこで下車しましたが、出雲まで乗っていくのも良いと思います。松江から先へ進むと、日本で7番目に大きな湖・宍道湖に沿って走る区間や、古事記にも登場する斐伊川などを渡るところもあり、また違った景色が楽しめます。
まとめ
遠方を訪問する際、飛行機での移動は時間の面でとても便利ですが、たまには「鉄道に乗ること」自体を目的とした旅も良いものだな、と改めて思いました。
費用面や旅行にかけられる時間、なども考慮した上で比較検討して、旅行の計画を立てられるとよいですね。
また、飛行機や鉄道での移動を計画する際は、株主優待券を使った割引料金などを上手に利用したり(金券ショップなどでも入手できますし)、宿泊と鉄道が割安でセットになった旅行会社のプランなどを利用するなど工夫して楽しむのも良いと思います。
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