魅惑の山梨 美味しいものと芸術と。

毎年、一年に何度か訪れている山梨県。東京から日帰りで訪問できる気軽さもあって、時々訪れています。今年は、新型コロナウィルスの流行に伴っての自粛期間が長かったのですが、自粛期間が終わった後に、フルーツ狩りに出かけました。フルーツ狩りだけでなく、美術館などをセットで訪れても東京から日帰りで楽しむことができるので気に入っています。(訪れる時は大体、午前と午後にメインの訪問地を一カ所ずつ、あとは時間をみながら+αという感じで日程を組んでいます。)

桃やブドウ 季節の果物が楽しめるフルーツ農園 【勝沼】

筆者はここ数年、桃やブドウの季節に山梨を訪れていますが、今年は勝沼にある「あすなろ園」を訪れました。
一度目は桃の季節に訪問。ここでの「もも狩り」は6月下旬頃~9月上旬頃まで楽しめ、食べ放題コースと収穫コースの2つのプランが設けられていました(2020年8月時点)。
食べ放題コースでは、最初に車で桃の栽培畑まで案内していただき、コースに含まれているお土産用の桃を2個選んで収穫することができました。その後、母屋に戻り、予め収穫された食べ頃の桃を食べ放題でいただきことができます(時間制限有り)。もも狩りのシーズンは夏の暑い時期でしたが、食べ頃の桃が冷えた状態で準備されていたので、周囲の果樹園を眺めながら心ゆくまで味わうことができました。

様々な果物が味わえる「あすなろ園」
ぶどう棚の木陰のテーブル席からは景色が一望
畑では桃を実際に収穫しました
果樹園を見ながら冷えた桃をいただきます

「もも狩り」に訪れたのは8月半ばでしたが、その後、10月上旬に再び山梨に「ぶどう狩り」に出かけました。折角なので、値段は高めになりますがシャインマスカットを食べられる場所を調べてみました。様々なフルーツ農園を調べましたが、比較検討して再び「あすなろ園」を訪れることになったので、(意図したわけではなかったものの)今季2回目の訪問となりました。
「シャインマスカット狩り」では、スタッフの方に車で畑に案内してもらい、40分間、自由にシャインマスカットの房を選んでその場で食べることができました。シャインマスカットは皮ごといただけるので食べやすく、こちらも心ゆくまで美味しくいただくことができました。
畑からの帰りは歩いて母屋まで戻りましたが、お腹が一杯になった後なのでお散歩がちょうど良く、周囲の風景も楽しむことができました。母屋に戻るとぶどうジュースが用意されていて、こちらも美味しくいただきました。

シャインマスカットを畑でいただきます

「もも狩り」には大体毎年どこかしらに出かけていますが、もう1軒、個人的に山梨で気に入っているフルーツ園があります。山梨市の笛吹川フルーツ公園の近くにある「萩原フルーツ農園」です。こちらは、今年は予約のタイミングが合わず残念ながら行けなかったのですが、こちらも畑でのもぎ取り体験ができたり、着席式での食べ放題で桃をいただけるところが気に入っています。また、お天気が良ければ桃をいただきながら富士山を望めるロケーションも気に入っていて、何度か訪れたフルーツ農園です。
ここを訪れる時は、近くの「笛吹川フルーツ公園」にも立ち寄って散策したり、公園内にある「やまなしフルーツ温泉 ぷくぷく」も一緒に訪れています。お天気が良ければ、露天風呂から富士山を眺めることができるのでおすすめです。

盆地と富士山を望む立地です

江戸時代の宿場町・台ケ原宿 老舗和菓子屋「金精軒」【北斗市】

何年か前ですが(2016年頃だったかと)、婦人画報で「日本のスウィーツを旅する」特集が組まれていたことがありました。その時に、甲州街道の台が原宿にある「金精軒」のことを知りました。中でも6月~9月の期間限定で週末のみの販売として紹介されていた「水信玄餅」が気になって、ある年、金精軒の台ケ原本店に行ってみたものの、訪問した時間にはすでにお目当ての「水信玄餅」は売り切れていて、その時は残念ながら購入することができませんでした。
再びチャレンジしたのは、その翌年。今度はかなり早い時間にお店を訪れ、整理券を入手してやっと購入することができました。「水信玄餅」の賞味期限は約30分!なので、食べること自体のハードルがとても高いものです。初めていただいた時は、その透明感ととろけるような儚さに感動し、貴重なお菓子をいただけたことに感激しました。
2020年は新型コロナウィルスの影響もあり、期間中の販売は持ち帰りのみ(毎日)だったようなので、例年よりは入手しやすくなっていたようです。
金精軒では時期限定の水信玄餅の他にも和菓子が売られていますが、生信玄餅やわらび餅、水まんじゅうなども売られていて(季節限定販売のものもあります)、どれも美味しくて近くを訪れた際には是非訪ねていただきたいお店です。(台ケ原店の他に、韮崎店とkinseiken甲府駅店があります)

老舗和菓子屋の「金精軒」
透き通った水信玄餅

余談になりますが、台ケ原の金精軒のすぐそばには、銘酒「七賢」の醸造元である山梨銘醸株式会社の酒蔵があります。寛延3年(1750年)創業の老舗の酒造で、古い日本家屋のお店の雰囲気も素敵です。個人的にはここのスパークリングの日本酒も美味しくて気に入っています。

歴史ある木造の日本家屋です

こだわりの美術館 清春芸術村 【北斗市】

金精軒のある台ケ原から車で10分くらい進んだ山の中に「清春芸術村」があります。
ここは廃校になった小学校の跡地にあり、富士山や周囲に山々を望み、周囲を自然に囲まれた環境のなかに安藤忠雄氏や谷口吉生氏などによる建築、そして白樺派の作品を収める美術館などが点在しています。1977年に創立者であった吉井長三氏が桜の季節にこの地を訪れ、その美しさに魅せられて、1980年にアトリエを設立したのが始まりだそうです。

広い敷地に建物が点在しています

芸術村の入口で一際目を引く建物がアール・ヌーヴォー様式のロトンダ(円形建築)「ラ・リューシュ」です(「ラ・リューシュ」はフランス語で「蜂の巣」を意味)。「ラ・リューシュ」は、1900年にパリ万博のワイン館として建てられた建物で、後にシャガールやモジリアーニなどの巨匠を生んだパリのアトリエ兼住居ですが、清春村にあるものは、その設計図を買い取りまったく同じ建物を再現したものとなっています。(オリジナルの建物は現在もパリの15区に存在しています。)

清春芸術村の入口
円形建築の「ラ・リューシュ」

敷地内には、安藤忠雄氏の設計による「光の美術館」などがあり、ここでは人工照明は置かれておらず、窓から差し込む自然光だけで作品を鑑賞するようになっています。

光の美術館(右)
自然光で作品を鑑賞します

その他、建築史家藤森照信氏の設計による、樹上にあり空中に浮いたように見える「茶室 徹」(内部は見学できません)や、谷口吉生氏の設計による「ルオー礼拝堂」、パリのエッフェル塔の一部を移設した「エッフェル塔の階段」、など個性的な建物やオブジェが点在します。奥に建つ「清春白樺美術館」は、武者小路実篤や志賀直哉などを中心とした文学の潮流「白樺派」の文豪達が建設の夢を果たせなかった<幻の美術館>を、彼らと親交があった清春村の館長が実現したものなのだそうです。常設展では「白樺」の関係書簡や原稿、資料などが展示されています。
筆者が訪れた際は、ちょうど2020年4月~2021年3月まで開催されている「リトグラフによるゴッホのデザイン展」の開催期間でした。こちらも見応えがあり、楽しむことができました。

空中に浮いたような茶室
移設されたエッフェル塔の一部
ルオー礼拝堂の外観
ルオー礼拝堂の内部
白樺派美術館
入口はこんな感じです

日本の伝統芸術に触れる 久保田一竹美術館 【河口湖周辺】

今年の夏に訪れて、クールな場所だと感じたのが河口湖の近くにある「久保田一竹(くぼたいっちく)美術館」でした。美術館の入口には大きな木製の門があり、そこを抜けると日本庭園が続きます。
木々に囲まれた庭園には池や滝などもあり、日本らしい風情が漂っていますが、所どころにアートのようにオブジェが置いてあり、お庭自体も芸術作品のようです。庭園を抜けるとミュージアムショップなどがある新館の入口となりますが、ここはまた、がらりと雰囲気が異なります。一目見て、バルセロナにあるガウディのグエル公園を思い出しました。琉球石灰岩を使って建てられている新館は曲線が美しく、とても遊び心があるデザインです。

美術館へと続く木製の扉
新館の入口(チケットはここで購入します)

新館を抜けていくと、奥にピラミッドのような形をした本館があります。残念ながら内部は撮影禁止でしたが、中に入ると天井まで吹き抜けになっていて、中央の舞台に着物の作品が展示されています。その作品の一つ一つがとても繊細で、手の込んだ素晴らしいものでした。
久保田一竹は20歳の頃に室町時代の紋様染め「辻が花染め」に出会いその美しさに魅了され、40歳になってから本格的に「辻が花」の研究を始めたといいます。安土桃山時代には武将や武家に寵愛された「辻が花」の着物は江戸時代初期になるとその姿を消してしまったそうですが、一竹は20年以上の年月をかけて独自の染色技法「一竹辻が花」を極め、国内外で高く評価をされました。本館では映像で久保田一竹の作品の制作過程や手法などが上映されていて、それを鑑賞してから作品を見ると、よりその作品の貴重さがよく解ります。館内には、富士山が季節や時間を変えて描かれた着物なども多数展示されていて、この土地でこそ、よりその魅力が伝わる作品の数々だと感じました。展示室の奥の階段を少しあがっていくと、ブティックと茶房スペースがあり、庭園を見ながらお茶が楽しめるようになっていました。(ここは写真撮影okでした。)
この美術館を訪れ、日本の質の高い伝統芸術を日本の文化の一端として、もっと広く海外の方にも知ってもらうことができたら良いのにな、と思いました。

新館を中庭から眺めます
中庭の奥にあるのが本館
本館内の茶房からは庭園が見える
美術館の案内ポスター

【おまけ】 つい立ち寄ってしまう 郷土料理ほうとうのお店

山梨を東京から日帰りで訪れる際、帰り道に山梨名物のほうとうを食べて帰ります。
幾つか違うお店にも行ってみましたが、最近は大体「小作」で食べて帰ることが多いです。山梨県内に8店舗あるので気軽に立ち寄ることができて、毎回美味しくいただいています。ちなみに、個人的には、たっぷりのお野菜と肉のバランスが良い「豚肉ほうとう」が気に入っています。

山梨県内に8店舗あります
内部(お座敷)の雰囲気
ほうとうを美味しくいただきました

今回の記事を書きながら、清春芸術村を訪れるバスツアーなどを探してみたものの、現状では見当たりませんでした。久保田一竹美術館を訪れる東京からの日帰りツアーは、「はとバス」で取り扱いがあるようでしたので(美術館の公式サイトに記載あり)、ご参考にリンクを張っておきます。ツアーのご案内はこちら

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