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越後湯沢~新潟を走る「現美新幹線」 2020年12月に運行終了
前回、燕三条を訪れた際の記録を残しましたが、最初に訪問した際には「現美新幹線」(GENBI SHINKANSEN)にも乗車しました。
JR東日本が2016年から運行している「現美新幹線」は、まさに世界最速の小さな現代美術館(!?)。越後湯沢と新潟の間を週末と祝日のみ一日3往復していて、全区間乗車しても片道50分程度です(2020年9月現在)。
新幹線の外観は写真家の蜷川実花さんが手がけられ、新潟の夏の風物詩「長岡の花火」が描かれていますが、見た目もとてもクールです。
車両は全部で6両編成で、芸術鑑賞に主眼が置かれているので、指定席で乗車することができる車両が1両ある他は、壁側に向かってソファに腰掛けて作品を鑑賞できる座席スタイルになっています。車両ごとに異なるアーティストの作品を鑑賞することができ、中ほどの車両には絨毯敷きのこあがりになったキッズスペース(こども達が楽しそうにプラレールで遊んでいました)や、燕市の「ツバメコーヒー」が監修するカフェスペースも設けられています。車内を移動して作品を自由に鑑賞したり、新潟の食材にこだわったスイーツを頬張ってみたり、、と過ごしているうちにあっという間に時間が過ぎてしまいます。現美新幹線には、(指定席以外は)新幹線の乗車券と自由席特急券があれば乗ることができます。
残念ながら、2020年の12月19日が最後の運行となり、現美新幹線は引退となりますが、新潟エリアでは‘‘新潟と庄内の食‘‘にフォーカスした「海里」や、新潟のお酒をコンセプトとした「越乃Shu*Kura」、日本人の心のふるさとをコンセプトとした「おいこっと」列車など、鉄道の旅が楽しみになる観光列車がいくつも運行されていてるので目が離せません。(個人的には、美味しいものとお酒も好きなので「越乃Shu*Kura」が気になります(笑)。)
JR東日本の「のってたのしい列車」はこちら
南魚沼にちょっと立ち寄り 里山の四季を感じる「魚沼の里」
週末に車で新潟に出かけた際、魚沼周辺で昼食を取ることにしました。お蕎麦が食べたくなったので検索していると、、美味しそうなお店があったので立ち寄ってみました。
そのお店は八海山の山麓、南魚沼にあり「魚沼の里」の一角にありました。ここは、八海酒造が運営する複合施設になっていて、と言っても、一軒一軒の施設は結構離れているものもあり、そこだけで小さな村のような印象です。
八海山の日本酒は、お酒を飲む場や、日本橋コレド室町2の中にある「千年こうじや」内の八海山日本酒BARなどでも飲んだことがありましたが、「魚沼の里」はのどかな自然に囲まれて開放感があり、とても心落ち着く場所で一気にファンになりました。同時に、田舎にあって「懐かしさや郷愁を覚える場所」でありながら、「洗練されたお洒落な空間」、という印象も持ちました。
「魚沼の里」のホームページを見てみると、『「魚沼の暮らしや雪国の文化を通じて‘‘郷愁とやすらぎ‘‘を感じていただきたいとの想いから、「魚沼の里」が誕生しました。』(魚沼の里ホームページより引用)との記載があり、なるほど!、と納得した次第です。
敷地内には、製造設備の酒蔵や、焼酎の蔵、ビールの醸造所や研究棟などがある他、カフェやキッチン雑貨を扱うお店、ショップやお菓子屋などがあります。そして、今回訪れた「そば屋 長森」、「八海山雪室」などもあります。
「そば屋 長森」は、古民家を移築した建物で、高い天井と広い和室が日本古来の良さを感じさせてくれる落ち着いた空間でした。蕎麦は挽き立て、打ち立て、茹で立て、にこだわって提供されているそうで、昆布と鰹節を使った濃いめの江戸前つゆと、魚沼風の田舎つゆ、2種類の特製つゆで美味しくいただきました。
「八海山雪室」は今回訪れた際(2020年6月下旬)は、コロナウィルスの影響で内部の見学が中止となっていましたが、通常であれば1,000トンの雪を収容する雪中貯蔵庫の様子を見学することができます。筆者は以前に新潟を訪れた際に、岩の原葡萄園のワイナリーを訪れたことがありますが、そこにもやはり雪室がありました。八海山にしても岩の原葡萄園にしても、雪の多い地域ならではの先人たちの知恵が、進化しながら現代まで受け継がれているのは素晴らしいことだな、と関心してしまいます。
魚沼で見る越後のミケランジェロ 石川雲蝶の大彫刻 西福寺 開山堂
魚沼を訪れた際に立ち寄ったのが、西福寺の開山堂です。ここでは、1852年、江戸時代末期の名匠と称された石川雲蝶の大作が見られます。雲蝶は日本のミケランジェロとも称され、彫刻、絵画、漆喰鏝絵などに長けていました。現在の東京豊島区の雑司ヶ谷で生まれた雲蝶は、江戸彫石川流の若く才能溢れる彫工として20歳前後で幕府の幕府御用工となります。しかし、天保の改革で緊縮財政が行われ江戸での仕事が激減し、そんな折、三条の本成寺の仕事を依頼されます。そのまま三条で婿入りし、越後に数々の作品を残しています。
西福寺の開山堂の作品は雲蝶が39歳頃の作品ですが、彼の黄金期の作品とも言われ、5年の年月をかけて制作されています。道元禅師を題材にした作品が主となりますが、圧巻なのが「道元禅師猛虎調伏の図」で、三間四方の吊り天井に透かし彫りで彫られています。特に天井は彩色が施され、迫力があり雲蝶の彫工としての技術の高さがうかがわれます。迫力と同時に、細部の彫刻も細やかで、思わず唸ってしまいます。
残念ながら内部は撮影禁止になっていますが、入場の際にはパンフットがいただけます。また、内部では映像での解説もあって分かりやすいので是非訪れてみてください。
いつまでも残したい風景 星峠の棚田
十日町市の近くを通ったので星峠の棚田にも足を延ばしてみました。
訪れた時期は水田が見られる時期や稲穂が実る時期ではありませんでしたが、高台から眺める棚田は、日本の田舎の美しさを再認識させてくれる場所でした。十日町市のホームページで拝見すると、昨今は観光客が増えて地元の方々が困惑されるような場面も発生しているようですが、観光客向けの場所ではなく地元の方々の暮らしがあるこういった場所へは、「お邪魔させていただく」気持ちで、マナーを守り謙虚な気持ちで訪れたいなと思いました。
おまけ:越後湯沢駅「ぽんしゅ館」 新潟が発信する日本の酒(SAKE)文化
新潟を訪れてから、リピートしたいと筆者が感じているのは、新潟の発信力の高さであったり、志の高さを感じるからかと思っています。
越後湯沢駅の「ぽんしゅ館」も、駅構内にあるとは思えないくらい充実していて、越後の全酒蔵の日本酒が取り揃えられていて、利き酒コーナーでは100種類近い日本酒を試飲することができます。筆者は仕事柄、海外のワイナリーなども沢山訪れましたが、ワインがテロワールで味や個性が異なってくるのと同じように、日本酒も地域や酒蔵によりそれぞれの個性があり、新潟国内だけでも本当に沢山の銘柄が存在します。全国でも有数の「酒どころ新潟」で、県内すべての酒蔵のお酒が一堂に集められているのは本当にすごいことだと思います。(長くなるので割愛しますが、「ぽんしゅ館」のホームページからも志の高さを感じます。)越後湯沢の駅構内には、他にも南魚沼産のコシヒカリで握った名物おにぎりのお店や、新潟の名産食材なども様々取り揃えられています。単なる「駅」の機能だけではなく、ゆっくり訪れたいところです。(ぽんしゅ館は、越後湯沢駅の他、新潟市と長岡市にも店舗があります。)
「ぽんしゅ館」のホームページはこちら
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