思わずリピートしてしまう新潟の魅力 燕三条を訪ねて

昨年、前々から興味を持っていた新潟県の燕三条に出かけました。金属加工産業が盛んな「ものづくりの町」ということは知っていましたが、実際に訪れてみると一度の訪問では足りず、その後、一年も経たないうちに再度訪れることになりました。新潟県は燕三条だけでなく、魚沼など魅力的な場所が多く食事も美味しいので、新型コロナウィルス(COVID-19)の感染再拡大が落ち着いたら、また訪れたいと願っています。

思わずうならずにいられない 職人の町 燕三条

新潟県の中央部分に位置する「三条市」と「燕市」は、日本でも有数の「ものづくりの町」であることは以前から知っていました。カトラリーなども「TSUBAMESANJO」産の製品はノーベル賞の晩餐会にも採用されたことがあるほど世界的にも高い評価を受けていますし、「燕三条」ブランドの名前はよく耳にしていたからです。
「燕市」では主に金属洋食器や金属ハウスウェア、「三条市」では主に作業工具などの製品がつくられていますが、古くは中世の鉄器産業に始まり、江戸時代に入ると鍛冶屋職人などにより建築金物が生産されていったといいます。その当時から受け継がれた伝統が、時代により形を変え、より時代にマッチした形でその土地の産業として続いていることは本当に素晴らしいことだと思います。
燕三条には、産業の歴史を知ることができる「燕市産業資料館」などがある他、「燕三条地場産業振興センター」などでも展示を見ることができます。
それだけでなく、実際に、ものづくりの現場を見ることができたり、体験をすることができる「オープンファクトリー」(製品がつくられる過程や現場を公開して、お客様に実際にみてもらうことができる工場開放)を取り入れている企業も多くあります。
「職人の世界」というと、どちらかというと閉鎖的なイメージがありましたが、燕三条は地域をあげて積極的にその場を開放していくことで、文化の継承とブランド化に成功している「地域産業の発展と地域観光の促進」のとても良い例だと感じ、最初に訪れた時には、とても感銘を受けました。その土地ならではの個性ある産業を守り発展させていく「町と企業が一体となったプロモーション」の巧みさに感動しました。

産業資料館には金属洋食器の展示がいっぱい
「四季島」のカトラリーにも採用

燕三条に行ったらまず訪れたい場所

燕市産業資料館と燕三条地場産業振興センター

燕市産業資料館」は日本で始めて「産業」という名前を取り入れた資料館なのだそうです。江戸時代から現代まで受け継がれる燕市の産業の歴史が紹介されていて、本館と新館があり見ごたえがあります。本館では燕に伝わる鎚起銅器の制作過程や職人の紹介などがされている他、日本の金属洋食器の発展の歴史などを知ることができます。燕三条の金属加工産業の発展について大まかな流れを知ることができるのでお勧めです。また、製作体験などができるワークショップなども定期的に開催されています。
燕三条地場産業振興センター」にも各企業の製品展示があり、物産館なども併設されているので見ているだけでも楽しめます。

ものづくりの現場を見に行こう 燕三条オープンファクトリー

燕三条では工場見学ができる企業が沢山あります。例えば、1816年創業で200年以上の歴史を持つ鎚起銅器の玉川堂や、SUWADA OPEN FACTORY(グッドデザイン賞などを受賞しているSUWADAつめ切りなどでも有名)、藤次郎オープンファクトリー(刃物メーカーで海外進出などもされています)、マルナオ(黒檀や紫檀を利用した箸やカトラリー)、燕市磨き屋一番館(金属研磨)等々、様々な場所が公開されています。

鎚起銅器の老舗「玉川堂」
落ち着いた和風の建物です
見学開始前に待合スペースで一息
ディスプレイも芸術的です
説明を聞きながら作業場を見学

町では燕三条ブランド推進部による便利なオープンファクトリーマップなども作成されているので、ウェブサイトや地場産センターなどで入手してみてください。

無料配布の燕三条の資料が便利
オープンファクトリーの一覧表が便利

燕三条地場産業振興センターにある地産地消のレストラン「Bit」

燕三条ご出身のシェフが「食を通して燕三条の魅力を伝える」、「お客様が心から満足できる食体験を提供する」、「新潟を、世界中から旅行者が訪れる美食の街に」(Bitの公式ホームページより引用)といったコンセプトのもとでオープンされたレストランなのだそうです。2013年に1号店が新潟市に、その後、東京の銀座にもお店をオープンされ、2019年にここ燕三条の地場産センター内にもお店が開かれました。内装もお洒落でかっこいいのですが、地産地消を目指した食材や、カトラリーなども地元のものを利用されており、「新潟や燕三条の文化発信」という意味でも、とても素敵なお店だと思いました。紙製のランチョンマットには、上述の玉川堂や藤次郎、マルナオやsnow peakなど、この地域の企業マップが印刷されていて、思わずお願いして持ち帰ってしまいました。(お店の方も快く許可して下さいました)

地場産センターにある「Bit」の入口
レストランの内装もお洒落
ステンレスマグはsnow peakのもの
地産地消の食材と地元製のカトラリー
地元の企業がマップになったランチョンマット
拡大するとこんな感じです

燕三条でお土産を買うならココ!

燕三条の地場産センター内の物産館や、JR燕三条駅構内(2階)にある燕三条Wingでは、カトラリーや包丁など様々な燕三条製紙品が販売されています。また、金属加工製品だけでなく地域の特産品(食品など)も充実しているので、周辺地域のお土産物は大抵揃う印象です。
また、少し中心部から離れますが、ファクトリーアウトレットのストックバスターズではメーカーや工場で出たデッドストックや見た目には通常製品とあまり遜色なく感じるアウトレットなどが購入できます。(最近では産地直売の観光名所にもなっていて大型バスで訪れるツアーなどもあるようですね。)

まとめ

燕三条の地域産業の継承と育成、それを国内外に発信して観光促進に繋げる取り組みは、とても素晴らしいと思いました。7月には「ミシュランガイド新潟」が創刊されるなど、新潟県は食のレベルも高く、まだまだ訪れてみたいところが沢山あります。燕三条の訪問の際には、観光協会のパンフレットやオープンファクトリーのウェブサイトなども充実しているので、参考にしていただくと良いと思います。
また、残念ながら2020年は新型コロナウィルス(COVID-19)の影響で中止が決定していますが、例年10月には燕三条地域とその周辺の企業が一斉に工場を開放し、ものづくりの現場を見学・体験することができる「工場の祭典」が開かれています。新型コロナウィルスの収束を願いながら、こういったイベントがまた再開される日を心待ちにしています。
燕三条までは、車で行くことも鉄道を利用して行くこともありますが、JRの切符と宿泊とがセットになったプランなどもあり、交通機関とホテルを別々に手配するよりもお得になることもあるので、上手に利用したいですね。


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