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ルノワールの愛した町 カーニュ・シュル・メール
ルノワールが晩年を過ごした町カーニュ・シュル・メール(Cagnes-sur-Mer)は、ニースの町から市バスや鉄道で訪問することができます。鉄道利用の場合、駅から町の中心までは徒歩20分程度、市バス利用の場合には「Square Bourdet」で下車すると町の中心近くです。筆者はレンタカーを利用して訪れましたが、時間の関係でルノワール美術館(Musee Renoir)のみに立ち寄りました。
ルノワールは1903年にカーニュ・シュル・メールに移り住み、1907年、彼が66歳の時に旧市街から少し離れたコレット(小さな丘)と呼ばれるオリーブの木々に囲まれた土地を購入し家を建てています。妻アリーヌと3人の子どもとともに晩年をこの地で過ごし、1919年に亡くなっています。
彼の過ごした家は、現在は美術館として公開されており、一家が利用していた家具やキッチン、サロンなども見学ができるようになっています。晩年のルノワールはリウマチに苦しみながらも、作品制作に注力したといわれていますが、ここでは、実際に利用したイーゼルや車椅子なども展示されていて、ルノワールの存在を実際に感じることができます。お庭にはオリーブの木などが生えていて、ルノワールの絵の看板なども置かれています。ルノワールがお好きな方には是非おすすめしたい美術館です。
敷地からは、少し離れたオ・ド・カーニュ(カーニュの旧市街)の町も見えました。オ・ド・カーニュにはグリマルディ城があり、城内には藤田嗣治やローランサンなどの作品が見られる地中海近代美術館も入っています。(※ルノワール美術館とグリマルディ城、いずれも以前のページでご紹介した「フレンチ・リヴィエラ・パス」があれば、ここも入場が無料になります。)
【カーニュ・シュル・メール観光局のルノワール美術館のサイトはこちら】
ピカソの美術館がある海辺の町 アンティーブ
アンティーブ(Antibes)は、ニースからカンヌ方面行きの鉄道で20分程で訪問することができます。また、ニースからは200番のバスで行くこともできます。
ここもまたコートダジュールのリゾート地の一つで、ピカソ美術館(Musee Picasso)があることでも知られています。現在、美術館となっているグリマルディ城は、元々は12世紀に建てられた要塞でだった建物で16世紀に再建されています。所有者が何度も変わった後、1925年からはアンティーブ市所有の博物館となっていました。1946年に近郊のゴルフ・ジュアンに住んでいたピカソがアトリエを探していた際、アンティーブ市が博物館の一室を提供したことから、ピカソはパリに戻るまでの2カ月間ここで制作活動を行っています。その期間に制作された23点の絵画と44点のスケッチなどが美術館に残され、現在では他の作品なども含めて展示されています。現代美術なども展示されており、ゆっくりと訪ねたい美術館です。(ここでも「フレンチ・リヴィエラ・パス」が使えます。)
【アンティーブ観光局による、ピカソ美術館のサイトはこちら】
マティスの残した世界 ヴァンスのロザリオ礼拝堂
ヴァンス(Vence)の村の郊外に、晩年のマティスが装飾を手がけたロザリオ礼拝堂(Chapelle du Rosaire)があります。
第二次世界大戦中に大病の手術を受けたマティスを看病した看護婦モニカが、後に修道女となりヴァンスの村の礼拝堂の再建を相談したことから、この礼拝堂の建設が始まったのだそうです。
マティス自身、この礼拝堂を彼の代表作と考えていたといわれており、1947年~1951にかけて建設されました。小さな礼拝堂ですが、中に入ると青や黄色の明るい色彩のステンドグラスが南仏の光とよく合って心地のよい空間になっています。礼拝堂内部の写真を撮ることができませんが、清らかな気持ちになれる素敵な礼拝堂です。
【ヴァンス観光局による、ロザリオ礼拝堂のサイトはこちら】
中世の面影を残す村 サン・ポール・ド・ヴァンス
コートダジュールにある中世の面影を残す村の中で、人気が高い村の一つがサン・ポール・ド・ヴァンス(ST-Paul-de-Vence)です。観光シーズンは日帰りでの観光客が多く訪れるので、なるべく午前の早い時間帯に訪れたいところです。村の散策だけでも十分楽しめますが、現代美術が好きな方は、高台にあるミロやブラック、ジャコメッティなどの作品が見られるマーグ財団美術館を訪れてみてはいかがでしょうか。芸術家と親交のあった画商マーグ夫妻によって設立された、ヨーロッパでも有数の私立美術館です。庭園や中庭でも、ミロやジャコメッティの作品を見ることができます。シャガールのモザイクなどもあり、美術好きな方にはおすすめしたい美術館です。(マーグ財団美術館のサイトはこちら)
村には、ルレ・エ・シャトーにも加盟している16世紀の邸宅を改装した素敵なホテルもあり、筆者もいつか泊まってみたいと思っています。
Le Saint Paul ル・サン・ポール (5★)
フランスの誇る香水の聖地 グラース
美術館とは少し話が逸れてしまいますが、フランスの香水の聖地と言えばグラース(Grasse)です。ここには、フラゴナールやモリナール、ガリマールなどの香水工場がある他、年間を通して温暖なグラース周辺にはシャネルやディオールなどの有名ブランドも自社専用の香水用花畑を所有しています。
グラースで香水産業が盛んになったのは18世紀の後半頃。それまでは、皮なめしが主な産業でしたが、革製品の独特の匂いがあまり好評では無かった為、上流階級の貴婦人たちが利用する革手袋に香水付きのものを取り入れたところ流行したと言われています。その後、グラースの皮なめし産業は衰退し、香水産業だけが続くことになりました。
折角なので、ここでは国際香水博物館(Musee International de la Parfumerie)を訪ねてみました。古代から現代にいたる香水の歴史、原料や製法について、など様々な角度から香水について知ることができます。また、香りを嗅いて楽しむことができるような工夫もあって、興味深い博物館でした。
グラースでは時間があれば、フラゴナールやガリマールなどで香水の調合体験もできるので、旅の思い出として自分だけの香水作りを体験してみるのも面白いと思います。
【香水調合が体験できるワークショップのサイトは下記】
ガリマール(Galimard) >所要2時間、予算55ユーロ程度。
モリナール(Molinard) >所要時間1時間、予算69ユーロ程度。
フラゴナール(Fragonard) > 所要時間1時間30分、予算69ユーロ程度。
番外編:冬に訪れたら立ち寄りたい 小さなスミレの村
冬に訪れた際に立ち寄った小さな村、トゥーレット・シュル・ルー(Tourrettes-sur-Loup)。この村はスミレの村として知られていて、11月~3月頃のシーズンには栽培風景をみることもできます。村で栽培されるスミレはグラースに運ばれ、エッセンシャルオイルの原料として利用されています。
毎年2月の最終の週末にはスミレ祭りが開かれ、小さな村も賑わいをみせるようです。
村自体も可愛らしく散策もおすすめですが、冬のシーズンに訪れたならスミレの博物館(La Bastide aux Violettes)も訪問してみたいところです。村とスミレの関わりなどを知ることができる他、博物館の裏で栽培しているスミレも見ることができました。村ではスミレの香りのする石鹸や、ジャム、リキュール、スミレの花の砂糖漬けなども購入することができます。
まとめ
コートダジュールには、芸術家が愛した小さな村や町が点在していて、小さな美術館も沢山あります。ニースから少し足を延ばして日帰りで訪れてみるのも良いですし、折角なので村に宿泊するのも楽しいと思います。ルレ・エ・シャトーに加盟する可愛らしいプチホテルなども点在していますので、筆者もまた南仏に行く機会があれば、田舎のホテルに滞在してゆったり過ごしたいと夢見ています。(実際にはなかなか仕事の休みが取れませんが。。)
また、限られた滞在時間の中で、効率よく小さな村を訪れたり、言葉の面などで心配な方は、ニースからの日帰りツアーなども出ているので上手に活用されると良いと思います。
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